会社・法人登記に関するサポート

司法書士は会社・法人登記の専門家として、「会社の設立」、「新規事業の立ち上げ」、「定款の見直し」、「後継者への事業承継」、「事業再編」など、登記手続を中心に、企業法務に係るアドバイスをしたり、書類作成を行っています。
「会社をつくりたい」というご相談であれば、起業者の個性や会社へのビジョンなどを検討しながら、設立する会社のスタイルなどについてじっくりとご相談に応じ、ご一緒に会社設計をしてまいります。
また昨今、経営者の高齢化が進む中において、「事業承継」「後継者育成」の問題は深刻です。これらの問題については、経営者の交代・経営の承継・資産の承継という3つのポイントを中心にすすめてスムーズに承継できるよう支えていきます。
私たちは、経営者の皆様の負担を軽減するため、各種登記手続の代理や企業法務に係る適切なアドバイスをさせていただきます。

会社・法人登記に関するサポート

主な相談事例Q&A

起業したいが、どのような形態の会社・法人がいいのかわからない

会社・法人の種類には、株式会社、合同会社(LLC)、一般社団法人、NPO法人、有限責任事業組合(LLP)など様々なものがあります(正確にいうと、有限責任事業組合は法人格のない事業体です)。
この中から、「営利性の有無」、「最低限の構成員数」、「事業目的」などを勘案して決定する必要があります。
例えば、一般社団法人やNPO法人は営利を目的とすることはできません。つまり、構成員に剰余金(利益)の配当をすることはできません。
また、株式会社や合同会社は1人でも設立できますが、一般社団法人や有限責任事業組合は2人、NPO法人は10人必要です。
そして、NPO法人以外は原則として営む事業に制限はありませんが、NPO法人は「特定非営利活動」を行うことを主たる目的とする必要があります。
このように、様々な観点から最適な形態の会社・法人を選ぶことが重要です。

合同会社のメリット・デメリットを教えてください

●メリット
1.設立費用が安い
 合同会社は6万円で設立可能です(登録免許税6万円のみ)。株式会社の場合、登録免許税(15万円)と定款認証(約5万円)で、約20万円もの費用が掛かりますので、合同会社のほうが、14万円も安く設立できます。
2.役員の任期がない
 役員の任期がないため、重任登記は必要ありません。株式会社の場合、役員の任期が切れる毎に、重任登記で1万円掛かります(資本金が1億円を超える場合は、3万円です)。
3.決算公告義務がない
 官報掲載費(約6万円)が掛かりません。
4.有限責任である
 株式会社と同じく、社員(株式会社の株主に当たります)は、出資の範囲内で有限責任を負います。
5.法人の節税メリットが享受できる
 税務的には、株式会社とまったく同じです。個人事業主よりも経費の範囲が広がります。
6.株式会社への変更も可能
 事業が大きくなってきたので、株式会社に移行したい場合は、組織変更により株式会社に移行できます。
●デメリット
1.代表者は「社員」
 会社の代表者は代表取締役ではなく、「代表社員」となります。
2.上場はできない
 株式会社ではないので、上場することができません。
3.資金調達の手段が少ない
 株式を発行して、資金調達するといったことが、合同会社ではできません。

会社の定款を失くしました。どうすればいいでしょうか?

定款を失くした場合、定款を復元する方法として、具体的には、以下のような対応が考えられます。
1.会社設立後5年以内ならば、設立時の登記申請書・定款の写しを管轄の法務局で閲覧できます(商登§11の2)。
2.会社設立後20年を経過していなければ、設立時に定款の認証を受けた公証人役場で定款謄本の交付請求が受けられます(公証人法施行規則§27)。電子定款の場合も保存期間は同じですが、保存料金は紙ベースの定款は無料、電子定款の場合は3000円かかります。
3.設立登記を自分で行ったのではなく、司法書士に依頼していたのであれば、その司法書士がデータを保存している可能性が高いです。
4.過去の株主総会議事録を探して確認し、定款を復元します。
5.株主総会議事録が残っていない場合は、新定款について、株主総会の特別決議で承認を得ます。「当社の定款を別紙のように見直す」旨の決議をとり、その旨の決議を得た定款を会社定款とする等の方法が考えられます。決議は新旧対照ではなく、定款の全文の変更とし、株主総会議事録と定款を袋とじにするのが適当ではないかと思われます。
なお、定款を復元する際には、登記簿の内容と定款が一致するようにしてください。

役員の任期が満了したので、手続きをお願いしたい

役員の任期は定款に記載されているはずなので、任期が到来すれば取締役等の「変更」登記をしなければなりません。役員が従来通りの顔ぶれでも「変更」登記(重任登記)をしなければなりません。これをそのまま放置しておくと(このことを「登記懈怠」といいます)、会社の代表者個人に対して過料が処せられる可能性があります。過料の金額は、法的には100万円以下となっています(会社法976条1号)が、通常は登記費用に相当する金額が過料とされる場合が多いです。法を遵守して、真面目に登記義務を果たしている会社との均衡を保つ意味からだと思います。また、過料は法人税の計算上、損金として処理することはできませんのでご注意ください。

後継者に会社(株式会社)を継いでもらいたい

中小企業の事業承継は今や日本経済の喫緊の課題です。
会社を社長の親族に承継させることを「親族内承継」、これに対し親族以外の役員や従業員に承継させることを「親族外承継」といいます。「親族内承継」は、近年、比率は低下しているものの、全体の約6割を占めており、依然として事業承継の中心的位置を占めています。
「親族内承継」のメリットは、①早期に後継者を決めることができる、②承継のための準備期間を長期間確保できる、③後継者の長所・短所を把握しやすく承継のための手助けがしやすい、④関係者の理解が得やすい、などです。
デメリットは、相続人間での財産の承継を平等にすること(経営に関する資産の承継とその他の資産の区別)が難しいため、経営権の集中が困難な点です。
つまり、「親族内承継」では、承継者に対して株主たる地位と経営資産(会社経営をしていく上で必要な資産)をいかに引き継ぐかがポイントになります。
株式や経営資産を後継者に承継させる方法はいくつかあります。
(1)生前贈与や売買による方法
(2)種類株式を利用する方法
(2)遺言書を活用する方法
まず(1)の生前贈与や売買による方法ですが、この方法の利点は、自分が元気なうちに、後継者に株式や必要な経営資源を承継させることができる点です。ただし、株式の評価額により多額の課税がされるリスクや多額の資金の準備が必要になる点に注意が必要です。課税リスクについては、暦年課税制度や相続時精算課税制度など従来の税制や事業承継税制を利用して、節税を検討するとともに、他の相続人の遺留分にも配慮するようにしてください。
次に、(2)の種類株式を利用する方法ですが、①のように、株式の譲渡に多額の課税がされたり、売買代金が高額になることで、株式の移転が困難な場合は、後継者の議決権が多く確保できるような種類株式を設定することで、株式の譲渡と同じ効果が出せます。
この効果を発揮できる種類株式には、議決権制限株式や拒否権付種類株式(黄金株)などがありますが、これらは登記事項として会社の登記簿に記載されることに注意が必要です。
最後に、(3)の遺言書を活用する方法ですが、経営者が亡くなった後の紛争の発生を軽減するためには、遺言により、経営資産の承継を明確にしておく必要があります。付言事項に経営方針や遺言内容についての理由等を記載することで、残された人の経営者への協力も期待できます。遺言書を作成するうえで注意する点は、承継させるべき経営資産を特定すること、遺言の内容を実現するための遺言執行者を指定すること、会社の状況の変化に応じて定期的に見直すことです。
ただし、遺言書を作成しただけでは、現状に何も変化はなく、後継者の地位は確立されていません。また、遺言はいつでも撤回できることから、生前贈与ほど後継者の権利が確実ではないことに加え、遺留分の問題もあります。
しかし、遺留分を侵害していた場合、従来は遺留分減殺請求により、経営資産が他の相続人と共有となるため、事業承継に影響がありましたが、相続法の改正により、遺留分減殺請求は遺留分侵害額請求となり、金銭による解決が可能となりました。
遺言の実効性が高まったことで、後継者は金銭の支払いはしなければならないものの、承継した資産を保有し続けることができ、安定した事業の運営ができることになりました。

なお、株式が譲渡されたときは、株主名簿の書換えは必ず行うようにしてください。

後継者がいないので、会社を売却したい

詳しくは、「M&Aの代表的なスキーム」をご覧ください。