行政書士業務に関するサポート

司法書士と行政書士の違いについて

司法書士は法務局や裁判所に提出する書類の作成、行政書士は市役所や県庁等に提出する書類の作成を主な業務とするところに違いがあります。
具体的には、司法書士は不動産登記(不動産の売買・贈与などによる名義変更や抵当権の抹消手続)、商業登記(会社の設立や役員の変更の登録手続)、供託など法務局に提出する書類の作成及び申請の代理、訴状など裁判所に提出する書類の作成を業として行うことができます。また、法務大臣から特別の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は、訴額140万円以下の事件については弁護士と同じように簡易裁判所で、依頼者の代わりに訴訟を行ったり、裁判外で相手方と和解交渉をすることもできます。
一方、行政書士は官公庁に提出する書類作成が主な業務ですので、建設業や飲食店などの営業許可、外国人のビザの申請などが行政書士の専門業務にあたります。その他、行政書士は「権利義務・事実証明に関する書類の作成」を行うことができ、この権限に基づいて契約書や内容証明郵便の作成を行います。
したがって、行政書士は会社設立登記や不動産の名義変更登記、裁判所に提出する書類の作成、自己破産・債務整理などの業務をすることはできません。また、法律相談や裁判外で相手方と和解交渉をすることもできません。

 ゆうなぎ法務事務所では、司法書士・行政書士両資格の保有により、許認可・届出から登記申請までワンストップで手続をサポートさせていただきます。
 例えば、農地法第5条の許可の場合、許可の申請は行政書士の独占業務ですが、農地の所有権移転登記は司法書士の独占業務です。行政書士以外が行政書士の独占業務を行うことは行政書士法で禁止されていますし、司法書士以外が司法書士の独占業務を行うことは司法書士法で禁止されています(ただし、弁護士はすべての法律業務を行うことができます)。また、それぞれの申請を別々の行政書士、司法書士に依頼すると合計の報酬が高くなりがちです。
 皆さまの負担を少しでも和らげるため、特に、NPO法人や医療法人の設立、農地法の許可・届出が絡んだ登記案件は私たちにお任せください。

主な相談事例Q&A

NPO法人を設立して、ソーシャルビジネスがしたい

子育て支援や高齢者の介護、障がい者の就労支援、地域の活性化、自然・環境保護など様々な社会的課題の解決に向けて、ビジネスの手法を用いて取り組む事業のことをソーシャルビジネスといいます。
このようなソーシャルビジネスの一端を担うものとして期待されているのがNPO法人です。
NPO法人を設立するには、所轄庁の認証が必要です。所轄庁とは、主たる事務所が所在する都道府県の知事(その事務所が一の指定都市の区域内のみに所在する特定非営利活動法人にあっては、当該指定都市の長)です。
参考に、横浜市内に主たる事務所を置く場合の設立の手順は次のようになります。
①定款の作成 → ②設立認証申請に必要な書類の作成 → ③設立総会の開催 → ④申請書類の提出 → ⑤申請書類の受理、公表及び縦覧 → ⑥認証又は不認証の決定 → ⑦設立の登記 → ⑧設立登記完了届出書の提出
※①~⑥及び⑧が行政書士の業務、⑦は司法書士の業務になります。
日本政策金融公庫では、ソーシャルビジネスをこれから始める又は現在営んでいる中小企業・小規模事業者、NPO法人向けの融資制度として、「ソーシャルビジネス支援資金」を設けています。興味のある方はこちらをご覧ください。

自動車の相続手続をしたい

自動車の所有者が死亡した場合、相続人への名義変更は、ナンバープレートを交付している管轄陸運局(運輸支局または自動車検査登録事務所)に対し、移転登録申請書を提出する方法により行います。
①まず、車検証によって、所有者を確認します。自動車を購入するときにローンを利用していて残債がある場合は、自動車の登録上の所有者は信販会社や自動車販売会社となっていることが一般的です。
信販会社や自動車販売会社名義となっている場合は、残債務の有無を確認することになります。自動車にローンが残っている場合、残債は相続する人が一括精算するのが通常です。ローンの残債を一括返済したら「所有権の解除」を行います。所有権の解除を行うと登録上の所有者は使用者と同一となり、相続のための名義変更ができるようになります。
一括返済が難しい場合は、使用者を変更するという方法もあります。この場合は、新しい使用者がローンを引き継ぐことになり、審査に通らなければなりません。なお、自動車に乗らない場合は、ローン会社や販売会社に自動車を引き渡してローンの返済に充てます。
あわせて、任意保険契約の有無・変更なども考慮するとよいでしょう。相続した自動車に乗り続ける場合には、保険の引継ぎ・変更が必要です。
自動車の任意保険に関しては、受け継いだ自動車に乗り始める前に必ず引継ぎや変更を済ませましょう。自動車保険の被保険者が亡くなった人のままの場合、万が一事故を起こしてしまったら、十分な補償を受けられない恐れがあります。家族間で等級をそのまま引き継げる場合とそうでない場合がありますから、保険の見直しや変更を検討する必要があります。
自賠責保険は、車両に付帯する保険で強制的に加入することが法律で定められているものですから、急いで変更する必要はありません。ただし、事故が起こった時の手続きが面倒になりますから、任意保険と同時に変更しておくことをお勧めします。
②自動車を相続人の特定の方の名義にする場合は、遺産分割協議書を作成します。相続人複数の共同名義にすることもできます。なお、自動車の価格が100万円以下の場合は、遺産分割協議書のかわりに簡単な書式の「遺産分割協議成立申立書」を使うことができます。自動車を相続する人だけが署名・押印すればよく、スムーズに手続きができます。遺産分割協議成立申立書で手続きをする場合は、自動車の価格が100万円以下であることが確認できる査定証、または査定価格を確認できる資料の写しなどを提出する必要があります。査定証は、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)で発行してもらうことができます。
③管轄の陸運局(運輸支局または自動車検査登録事務所)に対し、移転登録申請書を提出します。
その他に、手数料納付書、自動車税申告書、遺産分割協議書(印鑑証明書《作成後3箇月以内》付き)、被相続人の死亡の事実および相続人全員が確認できる戸籍謄本等、自動車検査証、自動車保管場所証明書(車庫証明書《証明後1箇月以内》)などを併せて提出する必要があります。
移転登録申請書や手数料納付書、自動車税申告書は、通常、陸運局の窓口でもらえます。 なお、申請書は、OCRシートの第1号様式を用い、1両当たり500円の自動車検査登録印紙を納付する必要があります。
相続した自動車は、預貯金や不動産と同様に相続税の課税対象になります。車種や年式によっては評価額が数百万円に及ぶこともあるため、申告漏れには注意が必要です。
相続税を申告するときの自動車の価値は、死亡日の時点の取引価格で評価します。中古車販売業者に査定してもらうか、インターネットで車種と状態が似通った車の買取価格を調べます。

農地の転用がしたい

農地の転用とは、住宅地・工場用地・道路・駐車場・資材置場など、農地を別の目的で利用することをいいます。
農地を農地のまま権利を移転・設定したり、農地を転用する場合は行政機関の許可が必要です。
農地転用の利用例と必要な許可区分及び許可権者は次のとおりです。

許可区分内容(利用例)許可権者※1
3条許可農地のまま所有権や賃借権などの権利を移転・設定するとき(例:農地のまま第三者に売却または貸し出すとき)農業委員会
4条許可農地を農地以外に転用するとき(例:自分の農地に家を建てるとき)都道県知事※2
農林水産大臣
4条届出上記において農地が市街化区域内にある場合農業委員会
5条許可農地を農地以外に転用し、所有権や賃借権などの権利を移転・設定するとき(例:農地を別の目的で利用するために第三者に売却または貸し出すとき)都道県知事※2
農林水産大臣
5条届出上記において農地が市街化区域内にある場合農業委員会
※1 許可権者については、県知事から市町村(農業委員会)に権限が委譲されている地域があります。
※2 農地が4ha超の場合

農地転用の許可申請の流れは次のようになります(詳細は、各自治体にお訊ねください)。なお、申請から許可が下りるまで2~3か月ほどかかります。
①農業委員会に事前相談
転用目的や計画内容によって、様々な書類が必要となりますので、必ず事前相談を行ってください。
②農業委員会に必要書類を提出・申請
申請書や転用理由書、事業計画書などを作成し、申請します。許可が下りるまで、工事着工はできません。
③許可書発行
審査が終わり、許可基準が満たされていれば許可書が発行されます。
なお、農地について権利を取得した者(相続の場合も含む)は、例外(農地法3条1項の許可を受けた場合等)を除いて、遅滞なく、農業委員会にその旨を届けなければいけません。この届出義務を怠った者は、10万円以下の過料に処せられます。